『ごん狐』 新美南吉 - 兵十と子狐ごんの失敗
2020.07.25 Saturday
青空文庫 『ごん狐』 新美南吉
おなじみの物語です。兵十と子狐のごんの悲劇です。
ごんにとって、いたずらは、子狐として悪気のない行為であり、決して兵十を苦しめることが目的ではありません。
実際、ウナギを盗んだことで、起きた兵十の悲しみを知ったごんは、あんないたずらしなければよかった、とつぐないを始めます。
一方、兵十にとって、ごんは、単純にウナギを盗んだ仕返しの対象であり、兵十は、まさか、ごんがつぐないをしに来ていたとは露ほども知りません。
結果、鉄砲を向けてごんを撃ってしまいました。そしてごんのつぐないを知りました。
兵十が鉄砲をうったその後については、含みを持たせた終わり方をしているので、読者の解釈にゆだねられています。
おそらくごんは死んだのでしょう。そうならば兵十は後悔したろうと思います。なぜなら、兵十は、母親の最期の望みをかなえてやろうとした、優しい気持ちの持ち主だったのですから。
この出来事のきっかけはごんでしたが、どちらが悪いとは一概にはいえません。ほんのわずかの行き違いが大きな悲劇へとつながっていきます。
ごんはひとりぼっちという設定ですが、兵十もひとりぼっちになってしまいました。それが、この悲劇をより悲しくさせます。なぜなら出来事を一人で背負わなければならないからです。
もっとも、多くの悲しみが、個人的な問題であったり、この物語のように明らかに自分に過失である場合がほとんどです。たとえ話せる相手がいたとしても多くの悲しみは最終的に分かちあえないのかもしれません。
そう誰もが、始めから、皆、半ばひとりぼっちなのです。それが、この名作への共感につながっているのだと思います。
さて、兵十とごんの物語を、自業自得論で展開する感想もあるようですが、それはあまりにも冷たく、しかも現実的ではないような気がします。出来事を、すべて、エゴでコントロールすることはできないのだから。
よって兵十もごんも最善を尽くした。あとはその時点では、知恵の及ばない領域のことであり、仕方がないことともいえるのではないでしょうか。
もしかしたら、あとに残された兵十にとって、残された道は、時の癒しにゆだねるしかないのかもしれません。しかも長い時間。
なぜなら、この物語が物語冒頭で明かされるように伝聞形式で語られているからです。伝聞にされるほど、兵十は苦しんだのだと思われます。
おなじみの物語です。兵十と子狐のごんの悲劇です。
ごんにとって、いたずらは、子狐として悪気のない行為であり、決して兵十を苦しめることが目的ではありません。
実際、ウナギを盗んだことで、起きた兵十の悲しみを知ったごんは、あんないたずらしなければよかった、とつぐないを始めます。
一方、兵十にとって、ごんは、単純にウナギを盗んだ仕返しの対象であり、兵十は、まさか、ごんがつぐないをしに来ていたとは露ほども知りません。
結果、鉄砲を向けてごんを撃ってしまいました。そしてごんのつぐないを知りました。
兵十が鉄砲をうったその後については、含みを持たせた終わり方をしているので、読者の解釈にゆだねられています。
おそらくごんは死んだのでしょう。そうならば兵十は後悔したろうと思います。なぜなら、兵十は、母親の最期の望みをかなえてやろうとした、優しい気持ちの持ち主だったのですから。
この出来事のきっかけはごんでしたが、どちらが悪いとは一概にはいえません。ほんのわずかの行き違いが大きな悲劇へとつながっていきます。
ごんはひとりぼっちという設定ですが、兵十もひとりぼっちになってしまいました。それが、この悲劇をより悲しくさせます。なぜなら出来事を一人で背負わなければならないからです。
もっとも、多くの悲しみが、個人的な問題であったり、この物語のように明らかに自分に過失である場合がほとんどです。たとえ話せる相手がいたとしても多くの悲しみは最終的に分かちあえないのかもしれません。
そう誰もが、始めから、皆、半ばひとりぼっちなのです。それが、この名作への共感につながっているのだと思います。
さて、兵十とごんの物語を、自業自得論で展開する感想もあるようですが、それはあまりにも冷たく、しかも現実的ではないような気がします。出来事を、すべて、エゴでコントロールすることはできないのだから。
よって兵十もごんも最善を尽くした。あとはその時点では、知恵の及ばない領域のことであり、仕方がないことともいえるのではないでしょうか。
もしかしたら、あとに残された兵十にとって、残された道は、時の癒しにゆだねるしかないのかもしれません。しかも長い時間。
なぜなら、この物語が物語冒頭で明かされるように伝聞形式で語られているからです。伝聞にされるほど、兵十は苦しんだのだと思われます。
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