『やまなし』 宮沢賢治童話全集 2 より - 独創的な空想力が高度に結晶化された散文詩
2017.09.30 Saturday
谷川の水の中で繰り広げられる、かにの一家の生活と、所々にに登場する魚やかわせみの姿が、光と影の中で立体的に描き出されていきます。
季節は移り、そこへ突然水面にやまなしが落ちてきます。かにの一家は、流れていくやまなしを追って、水中を移動しました。やまなしは非常に豊穣な果物として描かれます。
そのやまなしが木の枝に引っかかって止まると、かにのお父さんは、もう二日もすればやまなしは川底に沈んできて、いいお酒になると言いました。
賢治は、この物語を、わたしなる人物に幻燈として語らせて物語を始め、そして閉じます。
教科書にも採用されているので、誰しも読んだ記憶があるのではないでしょうか。そして、物語しょっぱなから、二匹のかにの子どもらの間で交わされる会話の中に登場する、クラムボンなる謎の存在が我々を煙に巻きます。様々な解釈がなされるものの、その正体に関する説ははっきりとしません。
かにの一家の視点から、透明な色鮮と、微妙な言葉の響き(オノマトペ)と共に織りなされるその世界は、とても魅力的です。
これほどのファンタジックな世界を構築するには、驚くべき空想力が働かなくてはならなかったのではないでしょうか。それら全体を一言で表すならば、高度に結晶した一遍の散文詩と言えます。
ユニークな解釈は、ネットにもたくさんありますので、そちらに譲ります。
初出岩手毎日新聞(大正12年4月8日)
季節は移り、そこへ突然水面にやまなしが落ちてきます。かにの一家は、流れていくやまなしを追って、水中を移動しました。やまなしは非常に豊穣な果物として描かれます。
そのやまなしが木の枝に引っかかって止まると、かにのお父さんは、もう二日もすればやまなしは川底に沈んできて、いいお酒になると言いました。
賢治は、この物語を、わたしなる人物に幻燈として語らせて物語を始め、そして閉じます。
教科書にも採用されているので、誰しも読んだ記憶があるのではないでしょうか。そして、物語しょっぱなから、二匹のかにの子どもらの間で交わされる会話の中に登場する、クラムボンなる謎の存在が我々を煙に巻きます。様々な解釈がなされるものの、その正体に関する説ははっきりとしません。
かにの一家の視点から、透明な色鮮と、微妙な言葉の響き(オノマトペ)と共に織りなされるその世界は、とても魅力的です。
これほどのファンタジックな世界を構築するには、驚くべき空想力が働かなくてはならなかったのではないでしょうか。それら全体を一言で表すならば、高度に結晶した一遍の散文詩と言えます。
ユニークな解釈は、ネットにもたくさんありますので、そちらに譲ります。
初出岩手毎日新聞(大正12年4月8日)
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