グリム童話(KHM41) 『コルベスさん』 おそらく存在するであろう物語の隠喩
2017.01.31 Tuesday
めんどりとおんどりが、あるとき旅に出ることになり、おんどりが美しい馬車を作ります。馬車は四匹のネズミに引かせました。
物語が綴られてゆく過程で、この一団には、新たな成員が、猫、石うす、卵、あひる、留め針、縫い針という具合に加わっていきます。
そして、彼らは、コルベスさんのところへ向かっていることが、突然明かされます。そして、留守にしている彼の家につくと、各員は所定の位置に着くのでした。
そこへ、コルベスさんが帰宅すると、次々に彼を襲います。しかし、コルベスさんが襲われる理由が、一切説明されません。
第七版では、はっきりと、コルベスさんが、一団によって殺されたという記述があります。しかも物語の最後に、”コルベスさんはきっと、とても悪い人だったんですね。”と取ってつけたように、コルベスさんが襲われる理由を示す一文が添えられているのが気になりました。
これは明らかに、改訂の際に物語をわかりやすくするためのものでしょうが、物語が語らんとするものを決する大きな一文です。もっと、慎重に扱うべきものだと思いました。第七版に至るまでの改訂は、ある結末への、恣意的な誘導に見えてしまいます。強引にそうしたという感じがぬぐえません。
そう、この物語、版が若いほど、何が言いたいのか、よくわからないのですが、版を重ねるたびに、それを補う修正が施されます。しかし、修正前の物語は、物語が語られた、当時の民衆の間では、何らかの隠喩として機能していた可能性があります。
例えば、これは深読みかもしれませが、コルベスさんが襲われる根拠が、はっきり説明されていない以上、コルベスさんは無実の人だった可能性もあるのではないでしょうか。
すると、第七版へ向けられた改訂は、有無を言わせない、多数派の正義のようなものが連想されてきて、出版当時には、世間に肯定的に受けいられたことが予想されますが、多様性を重んじる現代人においては、この物語を後味の悪いものと、しはじめます。このあたりが、恣意的な誘導と感じられる部分でもあります。
また、この物語の、初動を司っているめんどりとおんどりは、このブログでは扱いませんでしたが、(KHM10)『ならずもの』のそれを思い出させます。わたしは、そこで、めんどり、おんどりを、トリックスター的なものとしてとらえました。つまり創造と破壊を司るものとしての登場者です。
この切り口からも物語を読み解いていけるだろうと思いますが、類似の物語がまだあるので、後の課題としておきます。
物語が綴られてゆく過程で、この一団には、新たな成員が、猫、石うす、卵、あひる、留め針、縫い針という具合に加わっていきます。
そして、彼らは、コルベスさんのところへ向かっていることが、突然明かされます。そして、留守にしている彼の家につくと、各員は所定の位置に着くのでした。
そこへ、コルベスさんが帰宅すると、次々に彼を襲います。しかし、コルベスさんが襲われる理由が、一切説明されません。
第七版では、はっきりと、コルベスさんが、一団によって殺されたという記述があります。しかも物語の最後に、”コルベスさんはきっと、とても悪い人だったんですね。”と取ってつけたように、コルベスさんが襲われる理由を示す一文が添えられているのが気になりました。
これは明らかに、改訂の際に物語をわかりやすくするためのものでしょうが、物語が語らんとするものを決する大きな一文です。もっと、慎重に扱うべきものだと思いました。第七版に至るまでの改訂は、ある結末への、恣意的な誘導に見えてしまいます。強引にそうしたという感じがぬぐえません。
そう、この物語、版が若いほど、何が言いたいのか、よくわからないのですが、版を重ねるたびに、それを補う修正が施されます。しかし、修正前の物語は、物語が語られた、当時の民衆の間では、何らかの隠喩として機能していた可能性があります。
例えば、これは深読みかもしれませが、コルベスさんが襲われる根拠が、はっきり説明されていない以上、コルベスさんは無実の人だった可能性もあるのではないでしょうか。
すると、第七版へ向けられた改訂は、有無を言わせない、多数派の正義のようなものが連想されてきて、出版当時には、世間に肯定的に受けいられたことが予想されますが、多様性を重んじる現代人においては、この物語を後味の悪いものと、しはじめます。このあたりが、恣意的な誘導と感じられる部分でもあります。
また、この物語の、初動を司っているめんどりとおんどりは、このブログでは扱いませんでしたが、(KHM10)『ならずもの』のそれを思い出させます。わたしは、そこで、めんどり、おんどりを、トリックスター的なものとしてとらえました。つまり創造と破壊を司るものとしての登場者です。
この切り口からも物語を読み解いていけるだろうと思いますが、類似の物語がまだあるので、後の課題としておきます。
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