子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
<< December 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>



<< 日本の昔話 5 より 『西の狩人と東の狩人』 | ホーム | 日本の昔話 5 より 『けちくらべ』競っても仕方のないもの >>
日本の昔話 5 より 『天狗の太郎坊』 日本昔話をにぎわす異界の両義的な存在
短いお話です。



むかし、あるところに、太郎という男の子がいました。太郎の下にも子ができたので、お父とお母は、太郎にあかん坊の子守をさせていました。



ある日いつものように、太郎に子守をさせていると、太郎はあかんぼうをおぶったまま、するするとお堂の杉の木に登っていきました。

「落ちなければいいが」と周りではらはらしてみていると、太郎は赤ん坊をおぶったまま、くるりとさかさまになって、杉の木からすっすっすっとおりくるので、お父、お母は、すっかり胆をつぶしてしまいました。

この太郎はどういうわけか、かしの実が好きで、あんなかたい実を、飴だまのようにしゃぶっては、かんで吐き出していました。



そのうち太郎は十五歳になりました。すると、お父とお母の前に手をついて、改まった声でいいました。

「お父、お母、いままでえらいお世話になったが、もう山に帰らなければならない。われは、剣山(つるぎやま)の天狗じゃ」いうが早いか太郎は、お堂の杉の木めがけてぱっと飛んでいきました。太郎はそのまま山へこもってしまったようです。

村では、お父を先頭に村中の人たちが、鐘をかんかん、太鼓をどんどこ鳴らしながら、太郎を探しにいきました。太郎は池のほとりにいましたが「我は天狗の太郎坊じゃ。もう来るな来るな」といいました。みんなは仕方なく、あきらめて帰りました。



それから太郎は毎年いっぺん大みそかの日だけ、お父とお母の家に戻りました。そして床の間に備えたおせち料理を食べていきました。

太郎が、かんで吐き出した、かしの実からは目が出て、今ではお堂の周りは、かしの森になっているそうです、と物語は結ばれます。



illust3786-c



太郎坊とはウィキによると、全国代表四十八天狗の一とあります。彼に関する伝説として読めばいいのでしょう。

天狗とはこうした日本の伝説上の生き物ですが、神とされたり、妖怪とされたり、両義的な存在のようです。

日本の昔話にでてくる、こうした異界の存在は、ただ人に害悪をもたらすばかりではなく、善をもたらす不思議な存在としても描かれることが多く、たいへん興味深いです。この物語では、太郎坊を、かしの森を司る、神さまのような存在としているようです。



JUGEMテーマ:昔話






18:08 : 日本の昔話 5 冬 : comments(0) : trackbacks(0) : かがりん :
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://palimpsest.jugem.jp/trackback/634
トラックバック
■ホーム ▲ページトップ