子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 5 より 『じいさん、いるかい』 恐怖話、あるいはナンセンスユーモア
むかし、越中富山の薬売りが、大きな荷物をしょって旅をしていました。



ある日のこと薬売りはいつも通る道なのにどうしたわけか迷ってしまいました。どうしても村に行く道が見つかりません。とうとう日が暮れてしまいました。

するといいあんばいに向こうの方から明かりがひとつぽつりと見えました。行ってみると家の中にはじいさんがひとり火にあたっていました。

薬屋はひと晩の宿をたのみました。じいさんは、こんな汚い家だが泊まっていきなさいとこころよく引き受けました。

薬屋は荷物を下ろして家にあがりました。そして囲炉裏にあたりながらじいさんと世間話していると、そのうちじいさんが「ところでな薬屋さんあなたに頼みごとをして済まないのだが、わしは今夜あなたが来てくれたのを幸い、ちょっと出かけてこようと思う。留守番をしてくれるかね」といいました。

薬屋は「それはたやすいことだ。留守番くらいしてあげますよ」といいました

そしてじいさんは話しだしました。「実はなあ、うちのばあさんが、四、五日前に死んで、いま奥に寝かせてあるのだ。しかし葬式を出してやろうものの、ばあさんがこいしがってわしを放さないので、少しも家を空けることができない。ちょっと離れると『じいさん、逃げちゃいかん』というし、『じいさん、いるかい』と聞くのでお寺さんにもたのみにいけない。それで留守番をしてもらってお寺さんに行きたいと思ってな」

じいさんにそういわれて薬屋は「そんなことはわけない。行ってきなさい留守番していますから」といいました。



じいさんは出かけることになりましたが、出がけに「薬屋さん。たのんどくが、ばあさんが時々『じいさん、いるかい』といってたずねるから、その時には『おう、おう、いるぞ』と返事をしてやってください。それだけでいいから」といいました。

薬屋は「はあ、はあ、そう返事をしてやりましょう」と答えましたが、死んだばあさんがそんなこと言ったら気味が悪い、困ったことを受けあってしまったと思いました。けれども仕方なく留守番をしていました。



まもなく奥の方から本当に、「じいさん、いるかい」とばあさんの声がしたので薬屋は、「おう、おう、いるぞ」と返事をしてやりました。薬屋は気味が悪いと思いました。

しかしばあさんの声がまたしてきます。「じいさん今夜は寒いねえ」薬屋は「おう、おう、いるぞ」と返事をすると「じいさん本当にじいさんかね」というので薬屋はますます気味が悪くなって、薬屋は「おう、おう、いるぞ」と返事をしました。するとばあさんが「何だか違うようだなあ」といって奥から出てきました。

薬屋はたまげて家から飛び出しました。ところがばあさんは、とことことことこ追いかけてきます。

薬屋は、転び転び、どこまでも逃げました。そしてとうとう海辺まで来てしまいました。もう逃げ場がありません。薬屋はどうしようもなく海へ飛び込みました。するとばあさんも「じいさん、待ってくだせえ!」といって飛びこみました。

こうして飛び込んだばあさんは牡蠣になり、薬屋はほたて貝になった、と物語は結ばれます。



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恐怖話でしょうか。物語最後に、ばあさんと薬屋は、それぞれ牡蠣とほたて貝になるのですが、何か理由があるのかわかりません。お話し全体が、ナンセンスを伴ったユーモアとも取れます。



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18:24 : 日本の昔話 5 冬 : comments(0) : trackbacks(0) : かがりん :
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