子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 4 より 『古さくらべ』 昔話とファンタジー
短いお話です

むかし、のっぽの猿と、ふとっちょ猿と、ちび猿が三匹いっしょに旅にでることになりました。猿たちが歩いていくと、道の真ん中に栗の実がひとつ落ちていました。

三匹は、「この栗、おれが先に見つけたんだ」
「いや、おれが先に見つけたんだぞ」
「そうじゃない。おれがとっくに見つけていたんだ」
と、うばいあいを始めました。

そのうちにのっぽの猿が、「まあ待て。たった一つの栗だから、分けて食ったところで大したことはないし、ただ食っても面白くもない。どうだ、一番古いことを知っている者が食うことにしようじゃないか」ということで他の二匹も同意しました。



そこでまずのっぽの猿が「おれは富士山が米粒くらいの大きさだったころの覚えがある。おれが一番古いだろう」といいました。

すると太っちょ猿が「それもずいぶん古い話だが、おれは、琵琶湖がまだ硯の水くらいだったころの覚えがある。おれのほうが古いだろう」といいました。

ところが、ちび猿は何も言わないで、べそりべそりと涙をこぼして泣き始めました。これを見ると二匹の猿は、「ああ、おまえ、そんなに栗が食いたいのか。古いことは知らないけれど栗を食いたい一心で泣いているのだな。たった一つしかないけれど、おまえにこの栗をやろう」といいました。

するとちび猿は、「いやいや、おれは、栗が食いたくて泣いているんじゃない。富士山が米粒くらいの頃、琵琶湖が硯の水くらいの頃、八百六歳の孫をなくしたもんで、それを思い出して泣けてきたのだ」と涙声でいいました。

これを聞いて二匹の猿はびっくり。「うーん、こいつは古い。あの頃おまえにもう八百六歳の孫がいたなんて。この栗はお前が食うしかない」 こうして栗はちび猿のものになりました、と物語は結ばれます。



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旅の道中、道に落ちていた、たった一つの栗の実を賭けた、三匹の猿のほら吹き合戦が始まります。

この単なるお遊びに、ちび猿は、栗の実欲しさに、泣きだしてしまった、と思いきや、頓智のきいた作り話をして、賭けに勝ちます。

おそらく仲のいい、三匹の猿の、旅の道中での気晴らしの一場面ですね。のどかな情景が浮かびます。

と、普通に解釈してみましたが、昔話らしくもっと突飛な解釈もできそうです。そもそも、猿の話がほらとはどこにも語られません。三匹の猿を異界の存在とすることもできます。

するとにわかにお話は、聞き手に空想の余地を多分に許す、ファンタジーになりえます。



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18:16 : 日本の昔話 4 秋 : comments(0) : trackbacks(0) : かがりん :
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