子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 4 より 『猿の生きぎも』 インド起源の類話の多い昔話
むかし、海の底に、竜宮城がありました。あるとき、竜宮城の乙姫さまが病気になり、あちこちの医者に診てもらいましたが、いっこうに良くなりませんでした。

竜宮城ではみんな心配して、四方八方に使いを出し、良い医者を探しました。そして、やっとひとりえらいお医者さんを見つけて、みてもらいました。

このお医者さんは「乙姫様の病気は、どうやっても治らない。だが、たった一つ治る道がある。それは陸に住む猿の生きぎもを食べさせることだ」といいました。

竜宮城では猿を生け捕りにするために、誰を行かせたらいいだろうと相談しました。みなが考えあぐねていると、そこにちょうど戸の隙間からくらげの足が見えました。そしてみんなは、「こいつがいい」と、くらげの足を引っ張りました。そのころのくらげは骨太でがっしりとした体をしていました。

みんなはくらげにいいました。「くらげどんに頼みがある。乙姫様の病気を治すには、猿の生きぎもを食べさせるしかない。これから陸にあがって、猿をうまくだまして、ここに連れてきてほしい」こうして竜宮城では、くらげを使いに出しました。



くらげは陸に向かって泳いでいきました。浜につくと浜の松の木の上で猿が一匹遊んでいます。くらげは「おうい、猿どん、そんなところより、もっと面白いところがあるぞ。海の底の竜宮城に行ったことはあるかい」といいました。

猿は「そんなところ見たこともない」と答えました。くらげは「これから俺が連れて行ってやる。俺の背に乗れ」といいました。猿は早速くらげの背に乗って、海の中へ連れて行ってもらいました。



途中まで来るとくらげは、ここまでくればこっちのものと、つい口を滑らしてしまいます。「猿どんお気の毒。竜宮城の乙姫様が重い病気で猿の生きぎもを食べないと治らないお前はその生きぎもをとられるのさ」

さあ、これを聞いて猿は驚いたのなんの。何とかして陸に戻らないと命がありません。そこでいいました。

「なあんだ、そうかい。それならそうと早くいってくれればいいのに。だいたい、生きぎもというのは、いつも体につけているわけじゃないんだ。今日みたいに天気のいい日は虫干しすることになっている。今日は松の木の上に広げて虫干ししていたが、とんびにさらわれるといけないから、ああやって木に登って番をしていたのさ」

くらげは「ほう、そうか、そうだったのか。それなら、その生きぎもをとってきてくれないか」といいました。猿は「いいとも、いいとも。とってこよう」といいました。

くらげは猿の背に乗ったまま、また浜へ泳いでいきました。浜につくと猿はくらげの背から飛び降りて、松の木を駆け登りました。猿は逃げ帰ることに成功しました。



そして猿は「わっはは、生きぎもが松の木に干せるわけがあるまい。間抜けなくらげめ、これでもくらえ」と叫んで自分の尻をぱたぱたたたきました。猿の尻が赤いのはその時夢中で尻を叩いたからなんでそうです。

くらげは仕方なく竜宮城に戻って正直に事の顛末を話しました。それを聞いた竜宮城の魚たちは「この馬鹿者。お前は騙されたのだ。罰に骨を抜いてやる」といって寄ってたかってくらげの骨を抜いてしまいました。それでくらげというのは、今のような骨なしになったのだそうです、と物語は結ばれます。



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猿の尻が赤い由来と、くらげに骨がない由来が語られる由来譚ですね。またそれだけにとどまらず、類話が多いことで知られた昔話です。インド起源といわれます。

むかしくらげは骨太だったそうです。まず思い浮かんだのが、あの水族館で見られる美しい姿だったので、骨太のくらげはおかしみを誘いました。



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18:35 : 日本の昔話 4 秋 : comments(0) : trackbacks(0) : かがりん :
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