子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 4 より 『いうなの地蔵』 笑いはやがて身につまされる苦笑いに
短いお話です。

むかし、あるところに、ちょっぴり間抜けな男がいました。

ある日、男は、隣村に用たしに行って、帰り道、村はずれのお地蔵さんを横目に、急いで通り過ぎました。

ところが、ふと見ると、お地蔵さんの前には、うまそうな饅頭が山のようにお供えしてあります。男はそれを見て、急に腹が減っていることに気づきます。

男は「あたりに人がいるではなし、どうせお地蔵さんはまんじゅうを食うわけでもなし、まんじゅうのおさがりをいただいても罰が当たるわけでもあるまい」といって、まんじゅうに手を伸ばして、ぱくぱくと腹いっぱい食べてしまいました。

男は食べ終わると、すっかりいい気分になって、面白半分にお地蔵さんに手を合わせて、「お地蔵さん、お地蔵さん、まんじゅうをたくさんありがとうございました。でもこのことは、誰にもいわないでください」と拝みました。

すると石のお地蔵さんは「俺はいわぬが、我いうな」といいました。男はたまげて飛び上がり、暗い道を一目散に村へ駆け戻りました。

石のお地蔵さんがものを言うなんて聞いたことがない。男はお地蔵さんのことを誰かに話したくてたまらなくなりました。



ある日のこと、村人が集まっているところで男は、「村はずれのお地蔵さんはものをいうぞ」と話しましたが、誰も信じてはくれませんでした。

それで男はつい、「実はこの間、隣村からの帰り道、お地蔵さんのまんじゅうを盗んで食ったんだが『このことは誰にもいわないでください』とお願いしたら、おじぞうさんは『俺はいわぬが、我いうな』と確かにいったんだ」と口にしてしまいます。自分の悪事を自ら話してしまうのでした、と物語は結ばれます。



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興味深い出来事があると、人は、つい、他人に話したくなるのが人情です。主人公は間抜けな男ということで、聞くものの笑いを誘うお話なのでしょうが、他人ごとではありません。笑いはじわじわと苦笑いに代わります。



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18:21 : 日本の昔話 4 秋 : comments(0) : trackbacks(0) : かがりん :
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