子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 4 より 『まのいい猟師』 貧しい民によって伝承されてきた日本の昔話
むかし、ある大きなお百姓さんの家で、祝い事がありました。そこでおふるまいをすることになり、親戚中のものが呼ばれました。親戚の者たちはみないい暮らしをしていましたが、一人だけ貧しい男がいました。

その男は猟師でしたが、お祝いに招かれても、ご祝儀にもっていくお金がありません。土産を買うこともできませんでした。そこで祝い事のある家に行く途中、きじでもとって、それを土産にしようと得意な弓を持って出かけました。



男は沼のほとりに来ると、鴨が十二羽、鍋のつるのように丸く列を作って浮かんでいました。まっすぐ狙っても一羽しか取れないと思い、男は弓を引き、円を描くようにして矢を放ちました。

すると矢は見事に円を描くように飛んでいき、すべての鴨を射落としました。男は、これを土産にしようと思い、弓の両端にしばりつけました。

男はやがて川に出たので着物の裾を上げて尻っぱしょり(着物の裾をたくり上げて帯にはさみ、動きやすくする着付け)をして川を渡りました。

男は、向こう岸に上ろうとすると岸は高く、川岸に生えていた草の根をしっかりつかんで這い上がろうとします。すると、草の根と一緒にうさぎの後ろ足をつかんでいました。男はこのうさぎも土産にしました。

その時うさぎはびっくりして前足で土をひっかいたのですが、土の中からは山芋が十八本掘り出されていました。男はこれも土産にしました。

そして男は、尻っぱしょりにしていた着物を解くと、着物の中にはたくさんのふなが迷い込んでいて、ざっと足元に落ちました。男はこれも土産にしました。

こうして男はいつの間にかたくさんの土産を手に入れていました。男は上機嫌で祝い事のある家に急ぎました。百姓家にはすでに親戚の者が集まっていて、男の土産の量に感心しました。



おふるまいも無事に済んで、次の朝、男が帰ろうとすると、若い者たちが引き留めて、今日は山へ出かけて狩りをしようといいました。

そこで男は馬に乗ることになりました。しかしこれまで馬に乗ったことなどありません。男は怖がっていると、馬は勝手に走り出しました。男は泣き出してしまいます。しかし運が味方して、そのままいのししを狩ってしまうのでした。

若者たちは感心しました。いのししをかついで帰ると早速酒盛りです。男はあんまり酒を飲みすぎたので、その晩も泊まりました。

男は夜中に便所に起きました。すると戸口のわきに立派な弓が立てかけてあります。自分の使っている弓とは大違いです。試しの矢をつがえてみました。

しかし手元がすべって誤って矢を暗闇の中へ放ってしまいました。おとこはそのことを内緒にして、弓を元に戻して再び寝床に入りました。



翌朝なにやら騒ぎが起きていました。弓を射たのはだれかというのです。どうやら男が夜中に放った矢は泥棒を射ていたのです。

男は正直に名乗りを上げました。男は、さすが弓の名人とほめたたえられました。

その晩は、男が土蔵やぶりを防いだ、祝いの酒盛りとなりました。男は上座にすわらされて、皆に褒められました。

そして皆が寝静まった夜中です。男は上機嫌で飲んだり食べたりしすぎたので腹の具合が悪くなりました。便所に行こうと戸口を出ると我慢ができなくなり、そこで用を足してしまいました。

男は、用をたすと、すっかり気分がよくなり寝床に戻ってぐっすり眠りました。



さて、翌朝、また大騒ぎになりました。戸口にこんもりと置き土産をした者の詮議が始められていました。そこへ何も知らずに起きてきた若者が、なんだかわからないけれど、昨日のように誰かが褒められるのだろうと思い名乗りを上げます。

当然若者は怒鳴られました。おかげで、間のいい猟師のやったことは、ばれずに済みました、と物語は結ばれます。



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お金がなくて困っていた男に、どうゆうわけか幸運が巡ってきます。必要なものがそろいました。日本の昔話は、貧しい者にやさしいです。生活の貧しい民が伝承者なので当然といえば当然ですが…。

また、貧しい男は、普段から飲食していないであろう、酒やご馳走をふるまわれてご機嫌です。しかしこれは特別な時間です。神さまの采配といっていいのでしょう。けなげで貧しい民に祝福が与えられたのです。

物語終盤に下ネタがありますが、日本の昔話は下ネタをエピソードによく用います。これも貧しい民の趣向だったのでしょう。



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