子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 4 より 『芝居見物』 吉四六さんのバックボーンにある信頼がなせる笑い話
短いお話です。吉四六(きっちょむ)さんの、お話、続きます。

むかし、九州の田舎町に、上方から大変評判の高い、芝居の一座がやってきました。町の人たちも、村の人たちも、一生に一度の上方芝居の見物をしようと、わんさ、わんさと、芝居小屋におしかけました。

吉四六さんも、この上方芝居を見に、仲間と一緒に、はるばる遠くの村からやってきました。ところが芝居小屋の木戸口に来て、初めて財布を忘れてきたことに気づきました。

「なんだ、せっかくここまで来たのに、芝居が見られないのか」

吉四六さんは、しばらくしょんぼりしていましたが、やがて、人々が押し寄せる、木戸口の真ん中に行きました。そして木戸口に背を向けて、尻を木戸口の中へ突き出して、腰をかがめ、杖を突いて、きょろきょろと周りを見まわし始めました。

呼び込みの男がこれに気づいて、「もしもしあんた、帰るのか入るのか、そんなところでうろうろされたんじゃ、みんなの邪魔になるじゃないか」といいました。

すると吉四六さんはすかさず、「そうか、今帰っちゃ、みんなの邪魔になるなあ。それじゃあ、もう少し見ていこうか」といって向き直り、さっさと芝居小屋の中へ入っていきました。

そして、まんまと芝居見物をすることができました、と物語は結ばれます。



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今回の吉四六さんは、ちょっとずるをします。しかし、吉四六さんを知っている読者には、彼に、何の不快な気持ちも、起こさないのではないでしょうか。

こんなこともあるよね。ご愛敬だね、と思わせてしまう、彼の人間性への信頼が、バックボーンにはあるのです。



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18:27 : 日本の昔話 4 秋 : comments(0) : trackbacks(0) : かがりん :
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