子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 4 より 『へっぴり嫁ご』 長所と短所は紙一重
むかし、あるところに、母親と息子がいました。母親は息子が年頃になったので隣り村から娘を嫁にもらいました。

ところが、どうしたわけか、嫁の顔色が日増しに悪くなっていきます。母親は心配して、「どこかぐわいが悪いのか」と聞きますが、嫁は「なんともありません」と答えます。

それでも心配した母親は、嫁によくよく聞いてみると、嫁はうつむいて病持ちだと答えました。

母親は、「それならお医者さんにかかりなさい」といいますが、嫁は、「お医者さんに見てもらうような病ではない」と答えました。

母親は、「いったいどんな病なのか?」と聞きました。すると嫁は「屁が出る」というのです。母親は「何だそれくらいのこと遠慮せずにたれろたれろ」といいました。

母親がそういうと、嫁はほっとしたように、「それなら、土間に降りて臼にしっかり捕まっていてください」といい、安心して、ぼんがあー、と屁をたれました。

ところがそれはそれは大きな屁でした。母親は臼ごと天井に吹き飛ばされて、落ちてきたときには腰を打ってしまいました。あわてて嫁は母親を床に寝かせました。

夕方になって息子が帰ってくると、母親が床でうなり声をあげているので、どうしたのかと尋ねると母親は一部始終を話しました。

そして、嫁を女房として家に置くことはできないと判断した息子は、嫁を実家に返しに行きました。



嫁の村の入り口には大きな柿の木がありました。馬方のあらくれた男たちが、柿の実を落とそうと、下から木切れや石を投げています。ところが柿の実はひとつも落ちてきませんでした。

それを見た嫁は大きな声で笑いました。馬方たちは、「何がおかしい」と怒りますが、嫁は平気な顔で「わたしなら屁をたれて落としてみますけど」といいました。

馬方たちはますます怒って、それなら賭けをしようとすごみます。もし嫁が屁で柿を落とすことができたなら、馬方のすべての馬と馬につけた積み荷をやろうというのです。

ただしできなかったら、嫁は、馬方たちのものになるということに決まりました。まさかそんなことはできるまいと馬方たちは思ったのです。嫁は平気で承知しました。

息子はどうなることかとぶるぶる震えていると、嫁は柿の木の下へいって、ぱっと尻をまくりいきなり、ぼんがあー、と屁をたれました。

すると柿の木は、根っこからぐらぐら揺れて、柿の実が、ざざあっとみんな落ちてきました。馬方たちはあっけにとられます。嫁は賭けに勝ちました。

嫁は馬とその積み荷を手に入れます。息子は嫁を屁はたれるのが悪いくらいなもんで、宝嫁だと思い直し、実家に返すことをよしました。

息子は嫁を連れて家に帰り、嫁のために屁をたれてもいい屁屋を作りました。それが今の部屋の始まりです、と物語は結ばれます。



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何でも度を超してしまうと、病と判断してしまいがちです。はじめのうちは嫁自身も、自分を病と卑下しています。

ところが嫁は、離縁を切り出されて開き直ったのか、自身の悪癖と思ってきたことを解き放ちました。

するとひと財産稼いでしまうのです。なんと、悪癖だったものは、いつの間にか、アドバンテージに変わりました。離縁は解消されます。

お話の結びは、部屋という言葉の、由来端になっています。



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