子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
<< September 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>



<< 『旅の道連れ』 H.C.アンデルセン 善良な主人公が呼び寄せた幸運の道連れ | ホーム | 日本の昔話 4 より 『とら猫と和尚さん』 猫の恩返し >>
日本の昔話 4 より 『絵猫とねずみ』 芸は身を助く、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
短いお話です。

むかし、あるところに、読み書きそろばんもそっちのけで、猫の絵ばかり描いている男の子がいました。

お父さんは呆れ果てて、とうとう、「おまえのような子はもういらん。どこへなりとも出ていけ」といいました。

男の子は、今まで書き溜めた猫の絵を風呂敷で背負って家を出ていきました。



日も暮れてきたので、男の子はどこか泊まるところはないかと思いながら歩いていると、崩れかけた古いお寺があったので、そこで寝ることにしました。

寺の中に入ってみると、ねずみの糞が一面に散らばっていました。男の子はそれを見ると背負ってきた猫の絵を長押(なげし、柱から柱へ渡して壁に取り付ける横木)にぞろぞろはって寝ました。



真夜中に男の子はダダダダッという大きな音で目を覚ましました。起き上がってみるとピカリピカリと青光りする目が天井からこちらを睨んでいます。

男の子は、化けものが出たとガタガタ震えていると、長押に貼った猫の絵から猫がいっせいに抜け出して、天井に駆け上がりました。そしてドタンバタンとたいへんな騒ぎが始まります。

そのうちに「ぎゃあっ」という恐ろしい叫び声がしてあとはシーンと静かになりました。

次の朝、男の子は昨夜の化けものの正体を確かめてみようと、おっかなびっくり天井裏へ上がってみました。するとそこには犬ほどもある大きなねずみが死んでいました。



それから男の子は、このお寺の住職におさまって、好きな猫の絵を好きなだけ描いて楽しく暮らしたということです、と物語は結ばれます。



illust3786-c



男の子は、はじめ、好きなことを父親に止められます。しかしそれでも続けていると、やがて、そのことが、生きていくための糧になりました。

また、男の子の描いた絵は、名人の域に達していたのでしょう。絵に描いた猫は現実に生成して男の子を救います。まさに「芸は身を助く」ですね。

それにしても好きなことを好きなだけやれるということは幸せなことです。我々も、そういう状況を体験します。しかし失うものの大きさを恐れて、継続を諦めてしまうのではないでしょうか。

この物語で失うものとは父親の庇護です。しかし、男の子は、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」ということわざの通り、父親の庇護を捨てて、自分を貫き通しました。たいへん勇気づけられます。



JUGEMテーマ:昔話





18:35 : 日本の昔話 4 秋 : comments(0) : trackbacks(0) : かがりん :
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック
■ホーム ▲ページトップ