子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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『古事記』 [下の巻] 06 第十九代 允恭天皇 臣下の意によって左右される天皇の座
水歯別命(ミズハワケノミコト)こと、第十八代反正天皇(はんぜいてんのう)の後を、弟の男浅津間若子宿禰命(オアサツマワクコノスクネノミコト)が皇位を継ぎます。第十九代允恭天皇(いんぎょうてんのう)です。第十六代仁徳天皇の御子であり、第十七代履中天皇、第十八代反正天皇の同母弟にあたります。

主な御子に木梨之軽王(キナシノカルノミコ)、黒日子王(クロヒコノミコ)、穴穂命(アナホノミコト、第二十代安康天皇(あんこうてんのう))、軽大郎女(カルノオオイラツメ)、白日子王(シラヒコノミコ)、大長谷王子(オオハツセノミコ、第二十一代雄略天皇(ゆうりゃくてんのう))がいます。



允恭天皇は、はじめ皇位の話が来た時、自身の長く患っている病を理由に断っています。ところが、大后をはじめ、周りの官人が強く願い出たために位につきました。

この時、新羅の国王が八十一艘の船で允恭天皇に貢物を献上しています。この船に乗る大使は薬の処方に長けていて允恭天皇の病を治療したといいます。



ところで、允恭天皇は、天下のあらゆる人の氏姓(うじかばね)が、本来のものと違っているのを憂いて、盟神探湯(くかたち)という占いを行い、天下の多くの職業集団の長の氏姓を正しています。氏とは世襲により継承される家の名のことで、姓とは朝廷から賜る家の階級のことです。

盟神探湯とは、釜に湯をたぎらせて、そこに手を入れさせ火傷するかしないかにより、その人の正邪を判断する占いのことです。

もちろん邪心を持つ者は火傷をし、正しい心を持つ者は火傷を追わないと考えるやり方です。これにより氏姓を偽るものはいなくなるというわけです。



さて允恭天皇の後の皇位は、キナシノカルノミコと決まっていました。しかしキナシノカルノミコは、即位する前に、とある禁忌を犯してしまいます。

この時代、異母兄間の結婚は許されていたのですが、同母兄間の結婚は不倫とされ固く禁止されていました。その不倫を犯してしまうのです。その相手はカルノオオイラツメです。キナシノカルノミコのカルノオオイラツメへの思いが歌にして詠まれます。

キナシノカルノミコは、多くの官人や天下の人たちの反感をかい、皇位の継承は、自然と弟のアナホノミコトに期待が集まるようになりました。

キナシノカルノミコは、アナホノミコトを恐れて大臣の大前小前宿禰(オオマエオマエノスクネ)のもとに逃げ、武装します。一方アナホノミコトも武装します。



やがて二人の間に争いが起きました。その様子が歌にして詠まれます。そして争いのさなか、大臣のオオマエオマエノスクネが、流血を恐れて平和的解決を試みたのでしょうか、なんとキナシノカルノミコを捕らえ相手に差し出してしまうのでした。その時のキナシノカルノミコの妹を思う心情が歌に詠まれます。

キナシノカルノミコは伊余湯(いよのゆ、愛媛県松山市の道後温泉)に島流しにされます。キナシノカルノミコはその時に恨めしい気持ちを歌に託して詠みました。

一方、妹のカルノオオイラツメも、兄を思い、歌に詠みます。やがてカルノオオイラツメは兄を思う気持ちが押え切れず、後を追って伊余湯に向かいます。その時の心情が歌に詠まれます。

二人は再開を喜び抱き合います。その時の、キナシノカルノミコの、カルノオオイラツメへの思いが歌にして詠まれます。そして二人は共に自害しました。



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允恭天皇の事績で注目すべきは氏姓を正したことです。これらのことは、国を秩序の混乱から救い、正しく統治する上で大切なこととして語られています。このことは古事記の序文にも特に記されています。



允恭天皇の即位は大后をはじめ官人たちの強い要望によるものでした。このように皇位継承に、臣下の思いが関与する記述は初めてです。

同じように、後半に物語られる、次期天皇になるはずであったキナシノカルノミコの失脚には、やはり臣下の強い思いが関与しています。結果は允恭天皇に働いた力とは対象的な力が働いていますが…。

神々の物語として始まった古事記ですが、段々とこのようにより人間界の物語に変遷してゆきます。



後半の兄弟たちの物語は、多くの歌をはさみ、詠み手の心情が吐露され、非常に文学的に語られます。それぞれの登場者に、いろいろな思い入れをすることができます。

しかし、歌謡は、人それぞれ解釈が異なることが予想されるので、前節でも述べましたが、いたって簡単な散文で置き換えています。歌の内容が知りたい方は、他をあたってください。





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