子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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『古事記』 [下の巻] 03 第十六代 仁徳天皇(3)何はともあれ吉祥で結ばれるめでたい世
前節で仁徳天皇は、女性関係で、八田若郎女(ヤタノワキイラツメ)のことがあったにもかかわらず、腹違いの弟の速総別王(ハヤブサワケノミコ)を仲人として、ヤタノワキイラツメの妹にあたる女鳥王(メドリノミコ)に求婚しました。

するとメドリノミコは、大后の石之日売命(イシノヒメノミコト)の気性を、姉との出来事において知っていたので、仁徳天皇との結婚はできないと思い。それならと仲人であるハヤブサワケノミコと結婚することにしました。



このようなわけで、ハヤブサワケノミコは、仁徳天皇に報告に戻りませんでした。そこで仁徳天皇は直接メドリノミコの所に会いにゆきます。

さて、メドリノミコは服を織っていました。仁徳天皇は、いったい誰の服を織っているのかと歌を詠みます。メドリノミコは正直にハヤブサワケノミコの服であると答えて歌を詠みました。仁徳天皇は、メドリノミコが誰を愛しているのかをさとって、宮に帰ってゆきました。



その後、メドリノミコのもとに、夫のハヤブサワケノミコがやってきて、妻のメドリノミコは次の歌を詠みます。


ひばりは空を飛び翔ける。
そのように空を飛び翔ける、
はやぶさの名を持ったハヤブサワケノミコよ。
鷦鷯(さざき、ミソサザイ)の名を持った、
大雀命(オオサザキノミコト、仁徳天皇)の命を取ってしまいなさい。


やがてこの歌のことが、仁徳天皇の耳に入ると、仁徳天皇は二人を殺そうと軍勢を集めました。ハヤブサワケノミコと、メドリノミコは、倉椅山(くらはしやま、奈良県桜井市)に逃げます。

ハヤブサワケノミコが、その困難と、それにもかかわらず、二人でいることの喜びを歌に詠んでいます。彼らは、この山を超えて宇陀の蘇邇(そに、奈良県宇陀郡曽爾村)まで逃げたのですが、そこで仁徳天皇の軍勢に追いつかれて殺されてしまいます。

仁徳天皇の軍の将軍であった山部大盾連(ヤマベノオオタテノムラジ)はメドリノミコが手に巻いていた玉釧(たまくしろ、玉で作った腕輪)を奪って自分の妻に与えています。



この後、豊楽(とよのあかり、宮中での御酒宴)が催された時、各氏族の女達が皆宮中に参内しました。この時 ヤマベノオオタテノムラジの妻は夫がメドリノミコを殺した時にその身から奪った玉釧を手に巻いて参列しています。

大后のイシノヒメノミコトは、自ら大御酒(おおみき、神や天皇などに奉る酒)を柏の葉にとってそれぞれの氏族の女達を賜いました。

ところが、かつてメドリノミコが、手に巻いていた玉釧を覚えていたイシノヒメノミコトは、それがヤマベノオオタテノムラジの妻の手にあるのをみとめて、彼女には御酒柏を賜わず退席させ、夫のヤマベノオオタテノムラジを呼び出しました。

そしてイシノヒメノミコトはヤマベノオオタテノムラジに「メドリノミコたちは不敬であったから殺されたのです。これは当然のことでした。それにしても、かつては自分の主君であった方の御手に巻いておられた玉釧をまだ肌に温もりがあるうちに剥ぎとって、すぐに妻に与えるとは」と言って直ちに彼を処刑しました。



またこの御代の二つの吉祥です。

ある時、仁徳天皇が、豊楽(とよのあかり)を催そうと日女島(ひめしま、大阪市西淀川区姫島のあたり)に行幸(ぎょうこう、天皇の外出)された時、その島で雁が卵を産みました。

そこで建内宿禰(タケシウチノスクネ、成務朝から仁徳朝まで長寿を保ち、歴朝の大臣を務めた伝説上の人物)を呼んで、歌で、お前こそはこの国の長寿ものだ。この国で雁が卵を産んだことがあるかと尋ねました。

タケシウチノスクネは歌を詠み返して、そんな話は聞いたことがありません。きっと天皇が末永く国を治めになる印でしょうと答えました。



また、菟寸河(とのきがわ、所在未詳)の西に一本高い木があって、その木の影は朝日に当たれば淡路島に届き、夕日に当たれば高安山(大阪府と奈良県の県境に位置する山)を超えました。

そこでこの木を切って船を作ると、とても早く進む船となりました。そこで、この船に、朝夕淡路島の清水を汲んで、大御水(おおみもい、天皇の飲料水)として献上しました。

やがてその船も朽ちて壊れたので、塩を焼くのに使いました。そして焼け残った木を使って琴を作りました。するとその琴の音は、七つの里に響き渡りました。そこで人はその琴の音を愛でて歌を残しています。



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歌物語で綴られるところが多いのですが、前節でも述べた通り、歌謡は人それぞれ解釈が異なることが予想されるので、いたって簡単な散文で置き換えています。歌の内容が知りたい方は、他をあたってください。

古事記、下の巻のお話は、かつての神々の物語に比べて、非常に人間的です。この節も、相変わらず女性を追いかけ回す仁徳天皇と、激情を振るう大后のイシノヒメノミコトの続話です。

しかし、この節の大后は彼女の正義感の強さも表していて、まさに大后にふさわしい行動を示しているとも言えるのではないでしょうか。

また、締めくくりに、仁徳天皇の御代に二つの吉祥が起きたことが語られますが、これは普段ありえないことが起きると、縁起が良いとする考えに基づくもので、仁徳天皇の御世が、最後のところで物騒なこともありましたが、めでたい世であったことを表しているのでしょう。



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