子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
<< December 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>



<< 『古事記』 [中の巻] 15 第十五代 応神天皇(1)平和な御世 | ホーム | 『古事記』 [中の巻] 17 第十五代 応神天皇(3)天之日矛説話、及び出石にまつわる伝承 >>
『古事記』 [中の巻] 16 第十五代 応神天皇(2)天皇崩御後の三皇太子
さて、応神天皇が崩御なさった後、大雀命(オオサザキノミコト)は天皇の仰せに従って、宇遅能和紀郎子(ウジノワキイラツコ)に皇位の継承をなさろうとします。

ところが同じ兄弟の大山守命(オオヤマモリノミコト)は、それに背いて自分が天下を取りたいと思い、密かに弟のウジノワキイラツコの殺害を計画し軍隊を集めていました。

そのことを知ったオオサザキノミコトは、直ちにこのことをウジノワキイラツコに知らせます。



知らせを聞いたウジノワキイラツコは驚き、すぐに対策を講じます。まず兵士を宇治川のほとりに潜ませます。また宇治の山の上に絹の幕を張り巡らせ、その中に仮屋を立て、自身の身代わりとなるように変装させた兵士を一人座らせました。

そして役人たちに、代わる代わるそのおとりにお辞儀をさせましたから、これが偽のウジノワキイラツコだとは気づかないくらいでした。

その上でオオヤマモリノミコトが川を渡ってくるのに備えて、渡し船を一艘用意して、櫓(ろ)や櫂(かい)を綺麗に飾り、船底に敷いた、すのこには、佐那葛(さなかずら)の根から採ったネバネバした汁を塗りつけ、人が踏めば、滑って倒れる仕掛けを施します。

そしてウジノワキイラツコ自身は粗末な布の着物をまとって卑しい渡し守に変装して、舵を手に船の上で時を待ちました。

兄であるオオヤマモリノミコトも、これまた自分の兵士を隠し潜ませ、自分も鎧(よろい)の上に衣を着て変装していたのですが、それは、すっかり弟のウジノワキイラツコに見通されていたのでした。



兄のオオヤマモリノミコトは弟のウジノワキイラツコが山の上にいると思い込まされ、川を渡る船に弟が船頭として乗っていることには思いもよらず、のこのこと船に乗っかってしまいます。船が宇治川の中ほどに達するとウジノワキイラツコは船を傾け兄のオオヤマモリノミコトを川に滑り落としてしまいます。

オオヤマモリノミコトは、鎧は重いし流れは早いし、みるみる川に流されてゆきます。その時自らを哀れんで歌を読みました。


荒波さわぐ宇治の渡しに、
上手に船を操る友よ、
早く味方に来ておくれ。


そこを川のほとりに潜んでいたウジノワキイラツコの兵士たちが、いっせいに姿を表し矢を射るので、溺れかけたオオヤマモリノミコトは岸には戻れず、さらに下流へ流されてゆきました。そしてついにオオヤマモリノミコトは川に沈んでしまいます。



応神天皇の仰せの通りウジノワキイラツコが皇位を継承するはずでしたが、彼は、オオサザキノミコトこそ天皇にふさわしいと、皇位を譲るつもりでいます。しかしオオサザキノミコトにその気はありません。父である応神天皇の御心を第一としていました。

こうして互いに譲りあうものですから、天皇の食事を請け負っていた海人は、譲り合う兄弟の間を行ったり来たりで、鮮魚は腐らせ足はくたびれ次のようなことわざができます。「海人は自分の商売もので泣く」 

こういう具合だったのですが、やがて弟のウジノワキイラツコが、若くしてこの世を去ります。そこでようやくオオサザキノミコトが皇位につきました。

オオサザキノミコトとウジノワキイラツコの皇位の譲り合いには、儒教思想的な背景を見て取ることができます。





JUGEMテーマ:古典文学


18:29 : 『古事記』 [中の巻] : comments(0) : trackbacks(0) : かがりん :
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://palimpsest.jugem.jp/trackback/515
トラックバック
■ホーム ▲ページトップ