子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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『古事記』 [中の巻] 08 第十一代 垂仁天皇(2)皇后・沙本毘売命の子、本牟智和気御子
皇后である母親の沙本毘売命(サホビメノミコト)は自害してしまいましたが、その御子である本牟智和気御子(ホムチワケノミコ)は、父親の垂仁天皇のもとで育てられます。

垂仁天皇は ホムチワケノミコを大変可愛がり大切に育てますが、あごひげが胸元に届く歳になっても言葉を発しませんでした。



ある時、空高く飛んでいく白鳥の声にホムチワケノミコが口をパクパクさせてものを言うしぐさをしめしたので、垂仁天皇は山辺大鶙(ヤマベノオオタカ)に、その鳥を捕らえてくるように言いつけます。

彼はあちらこちらを散策し、見つけると追い込んで網を張り、ついにはその鳥を捕まえて垂仁天皇に献上しました。ところが期待にそぐわず、ホムチワケノミコはものを言うことはありませんでした。



こうして垂仁天皇が悩んでいたとき、夢にとある神が現れてお告げがありました。「私を祀っているお社(おやしろ)を、天皇の宮殿のように立派に作りなおすなら、きっと御子も言葉が話せるようになるであろう」と。

そこで垂仁天皇は、このとある神がどなたなのかを占いを立てて調べると、出雲の大神(大国主神)であり、この神のたたりで、ホムチワケノミコは、言葉が話せないでいることがわかりました。



早速ホムチワケノミコを、出雲のお社へ差し向けることになりましたが、誰を従者につければいいのかを占ってみると、曙立王(アケタツノミコ)が良いとわかります。

そこでアケタツノミコに誓約(うけい)をさせてみます。誓約とは予め決めておいた結果が出るかどうかによって事の真偽を占うことです。

アケタツノミコが「この大神(大国主神)を拝むことによって良いことが起こるなら、この鷺巣池(さぎすのいけ)の木にいるサギよ誓約によって落ちよ」というと池の周りの木に住んでいたサギはバタバタと地面に落ちて死にました。

また「誓約によって生きよ」というと再び生き返ります。それだけでなくアケタツノミコは樫の木を枯らしたり生かしたりもします。こうして占いのお告げは嘘ではないことがわかります。



そこでアケタツノミコと兎上王(ウナカミノミコ)をホムチワケノミコにお供につけて出雲に向かわせることとなりました。

旅路を占ってみると「奈良山や二上山を越えて行けば躄(いざり、足のたたない人)や盲(めしい)(昔は不吉の印とされていた)に合うだろうが、紀伊の国へ通じる真土山(まつちやま)を超える道は遠回りでも幸先の良い道だ」ということだったのでその道を通ることとします。

こうして一行は出雲国につき、出雲の大神を拝んでから、また都へ戻る途中、斐伊川の流れに皮付きの丸太をすだれのように組んだ渡し橋を作り、仮の御殿を立ててホムチワケノミコを泊めました。

その時、出雲の国造(くにみやつこ、朝廷によって任じられた地方官の一つ)の祖である岐比佐都美(キヒサツミ)という者が、川の下流に青葉の茂った木々を使い、作り物の山を巧みにこしらえました。

その景色がよく見える部屋の中でホムチワケノミコが食事を取る段に、御子は次のように初めて口を開きます。

「川下を見ると清々しい若葉が、まるで山のようだが、あれは本当の山ではないであろう。ひょっとしたら出雲大社においでになる大国主神をお祭りする神主たちの祭壇なのかもしれない」

ついにホムチワケノミコが言葉を発せられたのです。お供の二人は大喜びし、早速、檳榔(びろう)の葉で屋根を葺いた宮殿を立て、御子をそこにお留めして、早馬を使い垂仁天皇に報告しました。



ようやく言葉を話したホムチワケノミコは、一晩、肥長比売(ヒナガヒメ)と交わります。ところがそっと覗いてみると、彼女はなんと蛇だったのです。ホムチワケノミコは驚いて船に乗って逃げます。

ヒナガヒメは悲しみ、海の上を青く光らせながら別の船で追っていきます。ホムチワケノミコは増々恐れをなし、船を陸地につけると逃げ去りました。

こういうこともありましたが一行は無事旅を終えて都に戻り、従者の二人は改めて垂仁天皇に報告します。垂仁天皇は喜んでウナカミノミコを再び出雲国に使いに出して、お社を建てなおさせました。



また垂仁天皇は、かつて皇后であったサホビメノミコトが亡くなるときに残した言葉の通り、丹波比古多多須美知能宇斯王(タニハノヒコタタスミチノウシノミコ)の娘たちである、比婆須比売命(ヒバスヒメノミコト)、弟比売命(オトヒメノミコト)、歌凝比売命(ウタコリヒメノミコト)、円野比売命(マトノヒメノミコト)を妻とします。

しかしウタコリヒメノミコトと、マトノヒメノミコトは醜かったので生まれ故郷に返してしまいました。マトノヒメノミコトはそれを恥じて自死しました。


また垂仁天皇は多遅摩毛理(タジマモリ)という者を常世国(海の彼方にある不老不死の国)に遣わして「非時香木実(ときじくのかくのきのみ)」という不老不死になると言われている木の実を求めます。

しかしタジマモリが帰る前に垂仁天皇は崩御してしまいます。タジマモリは、木の実の半分を大妃であるヒバスヒメノミコトに献上し、残りを垂仁天皇の墓に供えて泣き叫ぶと死んでしまいます。この木の実は今でいう橘のことです。



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ホムチワケノミコは、垂仁天皇の後継からは外され、天皇に即位することはありませんでした。

それは母親のサホビメノミコトが皇后にもかかわらず、反逆者である自分の兄に加担をし、自死したことが要因になっているのでしょう。それでも垂仁天皇は、愛していたサホビメノミコトとの間に生まれたホムチワケノミコを、大切に育てたようです。

[上の巻]で活躍した大国主神が久しぶりに祟り神として登場します。重要な神様ですが、どんな神様だったか半分忘れてしまいました。[上の巻] 10 須佐之男命の系譜から[上の巻] 16 国譲りあたりを読みなおしています。





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