子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 4 より 『ひひ神退治』 日本特有の猿と犬の間柄を下敷きとする物語
むかし、旅の六部(法華経を納めて諸国霊場を巡礼する行脚僧、回国行者)が国中を旅して、ある村にやって来ました。村はちょうど秋祭りで、六部は、行く先々で餅を振る舞われました。けれども村一番の長者の家に行くとその家だけは静まり返っていました。

この村では、毎年、秋のお米の収穫が済むと、真夜中に屋根に白羽の矢が立った家から、娘をひとり村の八幡様に人身御供に差し出さなければならないという決まりがあり、もしその決まりを破れば村中の田畑が荒らされるというのです。そして今年は、とうとう長者の家の屋根にあたってしまったということでした。

それを聞くと、六部は疑問に思いました。八幡様が、そんなことをするはずがないからです。きっとなにか悪い獣の仕業に違いない、退治してやろうと思い、娘さんを差し出すのはおやめなさいと言いました。そして六部は八幡様のお社に連れて行ってもらい、物陰で様子を見はりました。

やがて真夜中になると、どこからともなく歳を経た大きなヒヒが、猿どもを率いて現れます。ヒヒはしっぺえ太郎がこないだろうなと謎の言葉を吐きます。ヒヒはその心配がないこと知ると、猿どもと共に娘を迎える前祝いに、歌って踊りはじめました。六部は歌を聞くと、しっぺえ太郎とは、ヒヒたちにとって、かたきのような存在で丹波の国にいることを知ります。



次の日六部は、しっぺえ太郎を訪ねて丹波の国に向かいました。しかし、しっぺえ太郎を知るものは、どこにもいませんでした。六部はがっかりして道端に座り込んでいると、牛のような大きな犬を連れた男が通りかかり、犬に向かってしっぺえ太郎と呼んでいます。どうやらしっぺえ太郎とは、この犬のことのようです。

六部は男に訳を話して、しっぺえ太郎を貸してくれと頼みます。男はそういうことなら、このしっぺえ太郎に乗って、今すぐ行きなさいと言ってくれました。六部は礼を言ってしっぺえ太郎にまたがり、村に向かって走り出しました。



いよいよ村では娘を差し出す日になりました。そこへ六部は駆けつけると、娘の身代わりに長持ちの中にしっぺえ太郎とともに隠れました。村の男たちは長持ちを担いで八幡様のお社の前に運ぶと、わらわらと逃げ帰りました。

真夜中になりました。どこからともなくヒヒと猿たちが現れ、お社の前に集まり、歌い踊り始めました。さんざん踊ってから、親分のヒヒは娘を取って食おうと、長持ちの蓋に手をかけると、そのとたん、しっぺえ太郎が中から勢い良く飛び出して、たちまちヒヒを殺してしまいました。六部も飛び出して刀で猿どもを切り伏せました。



夜が明けて村の人々が八幡様のお社を訪ねると六部と大きな犬が眠っていました。そばにはヒヒと猿たちが死んでいるので、皆びっくりしました。目を覚ました六部から訳を聞くと、皆は喜びます。長者は六部をもてなしこの村で暮らして欲しいと頼みましたが、六部はしっぺえ太郎を連れて丹波の国に旅立ちました。

それからというもの村では娘を人身御供に出すこともなくなり、みんな安心して暮らすようになったということです、と物語は結ばれます。



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悪いヒヒ神と猿をしっぺえ太郎という犬が退治する物語ですが、このような動物の組み合わせは、日本独自なのではないでしょうか。日本では犬猿の仲という言葉もあり、お互い仲の悪い関係を現します。このような関係を現す表現として、猿と犬の組み合わせは外国にはないようです。英語圏では犬に対して猫があてられているようです。



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