子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 4 より 『捨て子と鬼』 七リーグ靴ならぬ日本の一歩千里の靴
むかしあるところに、とても貧乏な家がありました。父さんはとうに死んでしまい、母さんは一生懸命働きましたが、自分が食べるので精一杯。三人の子供を養いきれませんでした。それで泣く泣く子どもたちを山へ捨てることにしました。

母さんは子供を山に連れて行き、ここで待っておいでと置いてきぼりにします。子どもたちは辺りが暗くなっても母さんが戻ってこないので上ふたりの兄さんは泣き出しました。

すると末の弟が、泣いたってしょうがないと言って木に登り、明かりを見つけると、兄さんと共にそこを目指します。



明かりは一軒のあばら屋のものでした。中にはひとりのお婆さんがいました。子どもたちは道に迷って困っているから今夜一晩泊めてくれと頼みます。

しかしお婆さんはこの家は鬼の家だからと泊めてくれません。食べられてしまうだろうというのです。そこへさっそく鬼が帰ってきました。お婆さんは押し入れに子どもたちを隠します。

鬼は家に入ると人間の匂いに気づきました。お婆さんは、実はいま人間の子供が一晩の宿を求めてきたが、鬼のお前が帰ってきたので慌てて逃げていったとごまかします。



鬼は三人の子供の後を一歩千里の靴を履いて追いかけ始めました。しかし鬼は行き過ぎたようだと思い、じき子供たちがやってくるだろうと道で休んでいると、眠り込んでしまいました。

お婆さんは鬼が一歩千里の靴を履いて走っていったからもう遠くにいるだろうと言って、鬼の出て行った方角と反対の道へ子どもたちを逃します。しかしどうやら子どもたちはいつの間にか鬼と同じ方角へ出てしまいます。そして、鬼に出くわしてしまいました。

子どもたちは寝ている鬼をそっとやり過ごそうとします。その時、末の弟は、鬼の履いている靴に気づきました。これが一歩千里の靴だなと思って、これを鬼から脱がせにかかりました。

そして末の弟は脱がせた靴を上の兄さんに履かせ、下の兄さんと自分をしっかりと帯で上の兄さんに縛り付け、上の兄さんを走らせました。ズシズシと地響きをさせて飛び出していきます。



その音に目を覚ました鬼は、後を追おうとしますが、靴が奪われていたので追いつくことができず、家に帰りました。お婆さんは子どもたちが無事逃げおおせたことにひと安心しました。

子どもたちはあっという間に自分たちの村に帰ることができました。それから子どもたちは母さんを助け、よく働き、みんなで幸せに暮らしたということです、と物語は結ばれます。



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うばすて山』もそうですが、立場の弱いものが山に捨てられようとします。

捨てられようとする子どもたちは活路を求め、ひとつの明かりに出会います。昔話でお馴染みの展開です。希望を表象する明かりです。

しかし明かりのもとは鬼の住処でした。ですが、そこには子供らを助けようとするお婆さんもいます。この展開もいくつかの昔話に共通です。

一歩千里の靴というのは西洋の昔話の七リーグ靴の日本版でしょう。千里が約四千キロで、七リーグが約三十五キロですから、およそ百倍の効力を発揮します。



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