子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 3 より 『火車の化けもの』 飄々とした主人公の魔物退治
むかし、あるところに、狩人がいました。

ある日狩人が仲間と山奥に入ったときのことです。体の大きさが山小屋ほどもある、火車という化けものに出会いました。仲間の男は肝をつぶしたけれども狩人は平気です。火車は相撲を取って力くらべをしようといいます。狩人はひるまずに、今日は都合が悪いから、明日にしようと言いました。火車も承知しました。

狩人は早速、明日の身支度を初めました。釜のつばを落として被り物を作り、鍛冶屋に頼んで特別大きなやっとこに、鉄のすね当てを作ってもらいました。



明くる日狩人は頭に釜をかぶり、鉄のすね当てを当てて、その上から布を巻きつけました。そしてやっとこを懐に忍ばせ、つるはしと鉄砲を隠し持ちました。

仲間を呼びに行くと、すっかり怖気づいていたので、狩人はひとり山奥に向かいました。

火車はもう先にきていました。狩人はまず、頭のひっかき合いを提案しました。火車も了承します。まずは火車の番です。狩人は火車に頭を引っかかれ、寸前でやられそうになりますが、慌てて火車に声を掛け「それくらいのもんじゃ」と止めました。

さて、狩人の番です。火車は狩人が素早く取り出したつるはしを振り下ろすものだからひとたまりもありません。

次に狩人はむこうずねの握り合いを提案しました。火車も了承します。まずは火車の番です。狩人は鉄のすね当てがひび割れて、慌てて火車に声を掛け「それくらいのもんじゃ」と止めました。

さて、狩人の番です。火車は狩人が懐から取り出した大きなやっとこで締め上げるものだから。すねが折れてしまいました。

狩人は火車がすっかりまいったのを見ると隠し持っていた鉄砲で火車の頭をを打ちました。火車は命からがら山奥に逃げていきます。



翌日狩人は犬を連れて山に入り、火車の血痕をたどって、大きな洞穴にたどり着くと、弱っている火車に鉄砲でとどめの一発を撃ち退治することができました、と物語は結ばれます。





昔話でおなじみの魔物を退治するお話の類型でしょう。主人公の狩人が、やられそうになると慌てて「そのくらいのもんじゃ」といって火車を止めるところがおかしいです。

その時、火車は西洋の昔話の巨人と同様に、ウドの大木を思わせる頭の弱さを発揮して、攻撃の手を緩めてしまうのでした。





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