子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 2 より 『うばすて山』 年寄りの知恵がなぞを解く
むかし、ある国に、年寄りはものばかり食べて役に立たないから、六十歳になったら山へ捨てるべしという殿様の掟がありました。掟を守らないものは厳しく罰せられました。それで誰しもそのようなものだと諦めていました。



この国に三吉と三太という親孝行の兄弟がいました。そして、ふたりにも、母親を捨てなければならない時がきます。ふたりは母親を山へ連れてゆきます。

しかし、こんな時でさえ、子どもの幸せを気遣う母親に、兄弟はどうしても母親が捨てられず、家に連れて帰りました。そして、家の床下に穴を掘って見つからないようそこへ母親を住まわせました。



さてその頃、この国に、隣のとても大きな国が戦を仕掛けてきました。とても勝ち目はありません。そこへ、隣の国の使いが、三つのなぞを持ってやってきます。そして、このなぞを解いたなら戦をやめにするというのです。

殿様はなんとしてもなぞを解かねばなりません。国中に、なぞをといたものには褒美を出すとおふれを出しました。

なぞは「五寸角で長さ五尺の杉の角材の根っこと先を見分ける方法」、「灰で縄をなう方法」「そっくり同じ馬のどちらが親でどちらが子かを見分ける方法」の三問です。

三吉と三太は母さんなら知っているはずだとその答えを求めて、母親を隠している穴のところへと行きました。母親はたやすいことだと全て解いてしまいます。

三吉と三太は、それらの答えを殿様に知らせ、国は無事守られました。隣の国は、こんな知恵者がいる国を攻めたら返り討ちに合うとの理由で戦をやめたのです。



殿様は三吉と三太に褒美をつかわすことにしました。ところが三吉と三太は褒美などいりませんと答えます。

そして、掟に逆らって、年老いた母親を養っていることを正直に打ち明け、その母親がこの度の戦での謎掛けを解いたことを明かし、母を捨てないでもいいことにしてくださいと願い出ました。

すると殿様は、年寄りというものは、なんと知恵のあるものかと、これまでの自分の掟が間違っていることに思い至り、これからは、年寄りは大切にするというお触れを出しました。

三吉と三太は、たくさんの褒美をもらい、母親と三人でいつまでも幸せに暮らした、と物語は結ばれます。



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深沢七郎の短編小説『楢山節考』の題材となった昔話ですね。

あらすじはだいぶ端折っています。なぞの答えなども省きました。また、切ない描写などがあって、原文にあたることを強くおすすめします。

前記事同様、謎が物語の仕掛けになっています。なぞに関わるお話は、洋の東西を問わず昔話に多数あります。興味がある方は、ブログ内検索で『なぞ』などを検索してみてください。

一つ一つ列挙してもいいのですが、これまで読んだものに限っても数が多いのでやめておきます。



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