日本の昔話 1 より 『きつねとうさぎのけんか』 騙されるきつね、日本人のきつね観
2017.06.29 Thursday
むかし、山の中の一軒家に、狐が住んでいました。ある時、狐は屋根から雨が漏るようになったので、屋根に登って、板を打ち付けていました。ところがうっかりして、金槌を地面に落としてしまいます。
そこにうさぎが通りかかったので、狐はうさぎに頼んで、金槌を拾ってもらいました。うさぎは屋根に登ってきます。そして狐を手伝い始めました。ところがうさぎは、狐の尻尾を板と一緒に打ち付けてしまいます。狐は悲鳴をあげます。
うさぎは悪びれもせず、釘抜きを取ってくると言って狐の家に入りました。そしてそこにあったごちそうを平らげ、そのまま自分の家に帰ってしまいます。
狐は悲鳴を上げて助けを呼びました。まもなく仲間の狐がやってきて釘を抜いてくれました。狐たちはうさぎへの復讐を誓います。
狐たちは、大きなざるに、山の松という松から松やにをとって集め、こね上げて人形を作ります。その人形を、うさぎが通う道の真ん中に仕掛け、自分たちは近くの藪に隠れました。
うさぎは人形を見て挨拶をしますが、返事がないのでこんちきしょうと人形をひっぱたきます。しかし人形は松やにで出来ているので手はくっついて取れなくなりました。そしてもがいていると残りの手足も人形にくっついてしまいます。
そこへ隠れていた狐たちが飛び出してきて、復讐を果たそうとします。狐はいいました。これから熱い湯につけてやると。ところがうさぎは熱い湯が好きだというではないですか。狐は考え直します。
ならばと狐はうさぎに深い淵に放り込んでやると言いなおしました。ところがうさぎはそれも気持ちがいいとというではないですか。狐はまた考え直します。
それなら茨の中に投げ込んでやると言います。するとうさぎはそれだけは勘弁してくれというのでした。そこで狐たちはそれを実行に移してやりました。
するとうさぎは茨の中を転げまわり、すっかり松やにをとってしまいます。うさぎは逃げていきます。狐は騙されたのでした。
世界的には、昔話で、間抜けな狐が描かれるのは珍しいのでしょうか。『きつねの玉のとりあい』の記事でも述べましたが日本の狐には弱点もあり、西洋ほど狡猾ではない印象です。中でもこの物語では、別の登場者であるうさぎのほうが狡猾に描かれています。日本の昔話では、『きつねの小判』のように、恩返しする狐さえいます。
日本では、様々な分野で、陰影をもった狐を主人公としたお話がたくさんあります。その数は、枚挙に暇がありません。稲荷信仰を軸に据えたものから、児童文学の『ごんぎつね』などなど。現代に至ってもそれは変わりません。
そこにうさぎが通りかかったので、狐はうさぎに頼んで、金槌を拾ってもらいました。うさぎは屋根に登ってきます。そして狐を手伝い始めました。ところがうさぎは、狐の尻尾を板と一緒に打ち付けてしまいます。狐は悲鳴をあげます。
うさぎは悪びれもせず、釘抜きを取ってくると言って狐の家に入りました。そしてそこにあったごちそうを平らげ、そのまま自分の家に帰ってしまいます。
狐は悲鳴を上げて助けを呼びました。まもなく仲間の狐がやってきて釘を抜いてくれました。狐たちはうさぎへの復讐を誓います。
狐たちは、大きなざるに、山の松という松から松やにをとって集め、こね上げて人形を作ります。その人形を、うさぎが通う道の真ん中に仕掛け、自分たちは近くの藪に隠れました。
うさぎは人形を見て挨拶をしますが、返事がないのでこんちきしょうと人形をひっぱたきます。しかし人形は松やにで出来ているので手はくっついて取れなくなりました。そしてもがいていると残りの手足も人形にくっついてしまいます。
そこへ隠れていた狐たちが飛び出してきて、復讐を果たそうとします。狐はいいました。これから熱い湯につけてやると。ところがうさぎは熱い湯が好きだというではないですか。狐は考え直します。
ならばと狐はうさぎに深い淵に放り込んでやると言いなおしました。ところがうさぎはそれも気持ちがいいとというではないですか。狐はまた考え直します。
それなら茨の中に投げ込んでやると言います。するとうさぎはそれだけは勘弁してくれというのでした。そこで狐たちはそれを実行に移してやりました。
するとうさぎは茨の中を転げまわり、すっかり松やにをとってしまいます。うさぎは逃げていきます。狐は騙されたのでした。
世界的には、昔話で、間抜けな狐が描かれるのは珍しいのでしょうか。『きつねの玉のとりあい』の記事でも述べましたが日本の狐には弱点もあり、西洋ほど狡猾ではない印象です。中でもこの物語では、別の登場者であるうさぎのほうが狡猾に描かれています。日本の昔話では、『きつねの小判』のように、恩返しする狐さえいます。
日本では、様々な分野で、陰影をもった狐を主人公としたお話がたくさんあります。その数は、枚挙に暇がありません。稲荷信仰を軸に据えたものから、児童文学の『ごんぎつね』などなど。現代に至ってもそれは変わりません。
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