子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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グリム童話(KHM88) 『さえずり、おどるひばり』 約束という、妖精物語の一大テーマ
主人公は、三人姉妹の末子であり、末子が成功するお話の類型としてとらえることもできるでしょう。

主人公の娘の父親は、長い旅に出ることとなります。彼は娘達におみやげを約束します。姉たちの希望は、叶えてやることができそうです。真珠にダイヤモンドと、具体的なものなので、お金さえ払えばたやすく手に入れることができます。ところが主人公の末娘の希望は、物語のタイトルにもなっている、”さえずり、おどるひばり”という、なんとも抽象的なものなのでした。

それでも、なんとか父親は、それを見つけることができました。しかし、それは、ある一頭のライオンの所有物でした。それに手を付けようとした父親は、ライオンに殺されかけてしまいます。父親は命乞いをしました。

するとライオンから交換条件が出されます。これを実行するなら、父親の命はもとより助かり、さらに”さえずり、おどるひばり”も手に入れることができるというのです。しかし、この交換条件とは、我知らず、なんと末の娘をライオンに差し出すことだったのでした。

父親は、末娘に、そのことを打ち明けます。そしてライオンのもとに行けば殺されてしまうだろうから、行ってくれるなと懇願します。ところが末の娘は約束は守らねばならないとして、ライオンの元へおもむくのでした。

ところが、このライオンとは、魔法で姿を変えられている王子だったのです。そして、王子と末娘のふたりは、これより語られる様々な試練を経て問題を解決し、結ばれ、互いに幸せを得るのでした。



(KHM01)『かえるの王さま』にもみられ、また、数々の妖精物語が繰り返し語ってきた、どんなに不条理なことであっても、約束は守るべきものであり、それが後々の幸せに結びつくという、一大テーマを、再び、ここに見い出すことができます。

王子と末娘の間でかわされた不条理な約束は、試練を経て、知らずと、聖なる結婚へとすり替わっていくのでした。


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