子どもの本を読む試み いきがぽーんとさけた
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日本の昔話 5 より 『天狗の太郎坊』 日本昔話をにぎわす異界の両義的な存在
短いお話です。



むかし、あるところに、太郎という男の子がいました。太郎の下にも子ができたので、お父とお母は、太郎にあかん坊の子守をさせていました。



ある日いつものように、太郎に子守をさせていると、太郎はあかんぼうをおぶったまま、するするとお堂の杉の木に登っていきました。

「落ちなければいいが」と周りではらはらしてみていると、太郎は赤ん坊をおぶったまま、くるりとさかさまになって、杉の木からすっすっすっとおりくるので、お父、お母は、すっかり胆をつぶしてしまいました。

この太郎はどういうわけか、かしの実が好きで、あんなかたい実を、飴だまのようにしゃぶっては、かんで吐き出していました。



そのうち太郎は十五歳になりました。すると、お父とお母の前に手をついて、改まった声でいいました。

「お父、お母、いままでえらいお世話になったが、もう山に帰らなければならない。われは、剣山(つるぎやま)の天狗じゃ」いうが早いか太郎は、お堂の杉の木めがけてぱっと飛んでいきました。太郎はそのまま山へこもってしまったようです。

村では、お父を先頭に村中の人たちが、鐘をかんかん、太鼓をどんどこ鳴らしながら、太郎を探しにいきました。太郎は池のほとりにいましたが「我は天狗の太郎坊じゃ。もう来るな来るな」といいました。みんなは仕方なく、あきらめて帰りました。



それから太郎は毎年いっぺん大みそかの日だけ、お父とお母の家に戻りました。そして床の間に備えたおせち料理を食べていきました。

太郎が、かんで吐き出した、かしの実からは目が出て、今ではお堂の周りは、かしの森になっているそうです、と物語は結ばれます。



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太郎坊とはウィキによると、全国代表四十八天狗の一とあります。彼に関する伝説として読めばいいのでしょう。

天狗とはこうした日本の伝説上の生き物ですが、神とされたり、妖怪とされたり、両義的な存在のようです。

日本の昔話にでてくる、こうした異界の存在は、ただ人に害悪をもたらすばかりではなく、善をもたらす不思議な存在としても描かれることが多く、たいへん興味深いです。この物語では、かしの森を司る、神さまのような存在としているようです。

ところで、神さまという存在に、困った状況を丸投げできてしまう日本の昔話の世界は、現代人にとって癒しになるかもしれませんね。



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日本の昔話 5 より 『西の狩人と東の狩人』
むかし、土佐の国の、西と東に狩りの名人がいました。

ある日、西の狩りの名人が、東の狩りの名人を訪ねていき、狩りに誘いました。東の狩りの名人は早速誘いに乗りました。そして、いつも泊まる寝床である岩屋に泊りました。

東の狩人は西の狩人に、遠くからやってきたのだからさぞ疲れただろうといって、西の狩人を先に寝かせました。西の狩人は寝たふりをして様子を見ていました。

東の狩人は、火にあたりながら、たばこを吸っています。そのうち岩屋の入り口に、女の帯のようなものがするするとおりてきます。東の狩人は、たばこの煙を、岩屋のふちに吐き出すと、長いものはあがっていきました。

長い帯のようなものは、あがったり下りたりを繰り返します。やがて夜明けが近づいて、長い帯のようなものはおりてこなくなりました。

まもなく、東の狩人が西の狩人を起こし、真夜中に何やら奇妙なものが岩屋の入り口に下りてきたが、あれは何だと尋ねましたが、東の狩人は答えませんでした。

ふたりは一日獲物を追いました。ふたりとも名人だけあって、たくさんの獲物をしとめました。西の狩人は、もう帰らなければならないといいました。そして来年の十二月の中ごろにまた来ると約束をし帰っていきました。



さて、次の年の十二月になりました。東の狩人は約束の日が近づいたので、ひとりで山に入り岩屋で待ちました。西の狩人は二日遅れていきましたが、東の狩人はいませんでした。

あたりを探し回ったところ、岩屋の奥からかすかに人の声がします。耳を澄ますと声はこういっています。

「西の名人よ遅かったな。おれは大蛇に飲まれてしまった。おれの仇を討ってくれ。この岩屋から一町(約100m)ほど下ると別の岩屋がある。大蛇はそこにいるから俺がおういといったら、岩屋の中に一発ぶち込んでくれ」

西の狩人はいわれた通りに下の岩屋に行って鉄砲に弾を込めて待ち構えました。そして「おうい」という声がしたのでずどんと一発岩屋に打ち込みました。

山が割れるような音がして何か大きなものが谷へ転がり落ちていきました。

西の狩人が後を追うと谷底には大きな大蛇が死んでいます。西の狩人は仇を打ち終わると、さっき鉄砲を撃った岩屋に戻りました。

すると岩谷の中からひそひそ声が聞こえてきます。死んだ大蛇の声のようです。

「わたしは西の狩人に命をとられた。おまえたち子ども二人でかたきを討ってくれ。まず巡礼に化けて、大みそかの晩に西の狩人の家にいき、『宿を貸してくれ』といって泊まり、すきを見て仇を討つのだ」と子供に言い聞かせているところでした。

西の狩人は急いで山を下り、東の狩人の家により、東の狩人の女房にありのままを伝え、自分の家に帰りました。



さて大晦日になりました。西の狩人は女房子供を親の里に逃がし、それから家の周りに干し草を積み、戸は全部釘付けにし、入り口だけを開けて待っていました。

日が暮れると、ふたり連れの巡礼がやってきました。巡礼は「旅の者ですが、暗くなって先へ行くことができません。今夜は大晦日なので、どこへ行っても泊めてもらえません。どうか、ひと晩泊めてください」と宿をたのむと、西の狩人は二人を中へ入れました。

囲炉裏に薪をくべて、どんどん火をおこし、ごちそうを食べさせ、よもやま話をしていると、夜も次第に更けてまいりました。そこで西の狩人は二人を寝かせました。

ふたりは寝床で何かひそひそ話をしています。西の狩人がわざと二人に聞こえるように「夜遅くなって寒くなるかもしれん。たきぎをとってこよう」と独り言をいうと家を出ました。外へ出るとすぐに入り口を釘付けにして、家の周りの干し草に火を放ちました。火はたちまち広がって大火事になりました。

村の人が集まってきて火を消そうとします。しかし西の狩人は、考えがあるから消さないでくれとたのみました。家はみるみるうちに丸焼けになりました。

西の狩人は村人にわけを話すために寝床の辺りの灰をかき分けました。そこには大蛇の骨が二つ並んで残っていたということです、と物語は結ばれます。



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正直言ってこの物語よくわかりませんでした。お話し序盤、東の狩人が岩屋の入り口を上り下りする女の帯のようなものとは大蛇の化身なのでしょうか。

果たして大蛇とするなら大蛇と東の狩人との関係はいかに。そこの辺りのことが書かれていません。とりあえず物語のアウトラインを記すことだけにとどめます。



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